SDGsインタビュー

SDGs Interview

「行動力」と「楽しむ力」で
まちに元気を呼び込む

北野 ゆかりさん能美市商工女性まちづくり研究会 会長/
能美市商工会 女性部長

寺井町の衣料品店「まるきた」の看板女将として、能美市商工会女性部長として、そして能美市商工女性まちづくり研究会会長として活躍する北野ゆかりさん。持ち前の「行動力」と「楽しむ力」で、能美に元気を呼び込んでいます。

のみ指標/「思いやる」お人柄
要素:ボランティア

活動目標:
子供から高齢者まで誰もが「思いやり」の
中で安心して過ごせるようにしよう

ボランティア団体を立ち上げ、移動販売事業をスタート

私は福井出身で、仕事柄、全国を飛び回っていたのですが、結婚を機に寺井町に移り住みました。家業は1918(大正7)年創業の衣料品店「まるきた」です。旧北国街道に面して店を構え、以前は呉服専門店でしたが、今は店舗も品揃えも大きく変わり、学生服や婦人服を中心に、紳士服、寝具、バッグなど多種多様な商品を並べています。店内の一画は地域の交流の場やギャラリーとしても活用されています。

私自身、能美という地域への思いが深まったのは、義母からバトンタッチを受けて商工会女性部の活動に参加するようになってからです。会員同士の横のつながりもできましたし、地域の祭りなどのイベントのお手伝いをすることで顔見知りが増えました。親しくなった方がお店を訪ねてきてくれて、あれこれ話をすることが楽しくて、そのうち来店される方から「近所の八百屋がなくなった」「自転車に乗れなくなって買い物が不便になった」という声が聞こえてきました。私たち商工会の会員は、能美に根ざし、地域の人に支えられて商売をしてきました。地域への恩返しのつもりで「自分たちにできることはなんだろうか」と皆で考え、話し合い、2012(平成 24) 年から市内の山間部を回る移動販売事業を始めました。

活動継続の原動力は、能美の働く女性の人間力

現在はスーパーなどの事業者も移動販売を行うようになりました。利用する方にとっては購入の機会が増え、選択肢も多様になりますから、とてもいいことだと思います。一方で、私たちボランティア団体が移動販売を行う意義も明確になったと感じています。一番の違いは、販売だけが目的ではなく、地域内・地域間の交流を大切にしているという点です。たとえば、販売車は戸別訪問するのではなく、公民館などに停車し、地域の方の外出やコミュニケーションを促します。「お化粧をしてきた」「きれいなエプロンに替えてきた」とおしゃれをして出てきてくれる方もいて、楽しみにしてもらっているんだなとこちらも嬉しくなります。売る側・買う側の立場を超えたつながりも生まれており、雪が積もった日は地域の方があらかじめ停車場所の除雪をしてくれていますし、到着後は私たちも周囲の道の雪かきを手伝います。

これまで全国各地の団体が視察にやってきました。現場を見てもらい、運営ノウハウをお話しすると、皆さん「素晴らしいですね」と褒めてくれます。しかし続けて「自分たちにはできない」とおっしゃいます。利用者さんとの関係性づくりが難しく映るようです。もっとも、私たち自身には難しいことをしている意識はありません。大変なことももちろんありますが、仲間で協力することや、訪問先の方と交流することを楽しむ姿勢が根幹にあります。長く取り組みを継続できているのは、メンバーの人間力があってこそだと実感しています。

2030年の能美市のありたい姿は?

能美市に移住、定住する人が増えているといいですね。若い人が魅力を感じる情報発信と、実際に腰を据えて生活できる仕組みづくりに期待します。

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