お知らせ
アートを通してSDGsを考える「Art Project for SDGs」。今年度は能美市の3中の中学校の生徒が令和6年能登半島地震で被害を受けた九谷焼の陶片を素材に制作し、11月14日から17日にかけて、完成した作品が根上総合文化会館のアートギャラリーで展示されました。中学生たちの思いや創意工夫が、どのような作品を生み出したか、展示の様子をご紹介します。
陶片での作品づくりから九谷焼の魅力を知る
2024年1月1日に発生した能登半島地震で被害を受け、バラバラの陶片となってしまった九谷焼は、夏休みに能美市の3中学校の美術部員たちの手で、UVレジンで固められた色とりどりの円盤型パーツとして生まれ変わりました。
制作した生徒たちにとって、九谷焼はずっと慣れ親しんできた地元の伝統工芸です。しかし作品の素材として向き合ったときに、陶片一つ一つに描かれた色や絵柄の多彩さと繊細さ、焼き付けられた絵の具や釉薬の美しさなどに触れて、改めて九谷焼の魅力に気付いたという生徒も多かったようです。
九谷焼アートで能美市におけるSDGsを発信
当日にはそんな生徒たちの熱意が注ぎ込まれた600個を超えるパーツを、1個ずつアクリルケースの中に入れて並べたものと、それぞれ10数個をテグスでつないで、のれんのように吊り下げたものを展示しました。周囲には制作の様子や地震による被害状況を示したパネルも設置して、作品が生まれた背景を発信しました。
展示会場を訪れた人々は、九谷焼を新しい形で生かしたアートを前に、組み合わされた作品全体を眺めたり、パーツ一つ一つに細かく目を向けたりして、思い思いに作品を鑑賞していました。パネルの解説を読んで、作品の由来を知り、九谷焼の素晴らしさや災害の恐ろしさ、SDGsの大切さなどを考えてもらう機会にもなったようです。
会場にはメッセージコーナーも設けられ、能美市やSDGsについて、九谷焼について、災害や復興について、それぞれのテーマに沿って、来場者たちが真剣に書き込む姿が見られました。展示期間の4日間を通じて、能美市や九谷焼、さらに地震で大きな被害を受けた能登にも向けて、数多くのメッセージが寄せられました。
これからもチャレンジしたいSDGsアートの可能性
捨てられるはずのものに新たな命を吹き込み、地域の伝統文化や防災についても光を当てた今回の「Art Project for SDGs」。制作に参加した各中学校の生徒や先生方からも、「また地域に根差した素材を使った作品をつくってみたい」「山で伐採された木々や道路に捨てられたゴミなども活用したい」といった声が上がっていました。能美市では来年度以降も、地域と関わるSDGsを見据えた企画に取り組んでいきます。
○来場者の声から
「作品の美しさに引かれて会場に入り、パネルを読んで初めて、地震で壊れた九谷焼が素材だと知りました。震災の被害をアートで伝えることは良い切り口だと思います」
「展示された円盤の一つ一つに、ほかとは違う個性があって、中学生の発想の多彩さに驚かされました」
「一度壊れたものを再生する取り組みは意義深いと感じました。元々素晴らしい工芸品だった九谷焼が、別の素敵な作品に生まれ変わっています。この円盤でアクセサリーなどもつくってほしいですね」
○寄せられたメッセージから(抜粋)
「九谷焼のことをもっと多くの人に知ってもらいたい。カラフルできれいでした!」
「(作品の)1つ1つの個性が描かれている感じがして魅力的だった」
「美術を通じて能美市に活気が湧いてくればいいと思いました」
「早く震災が起こる前のきれいな能登に戻ってほしいです」
「さまざまな形でのSDGsの表現が素敵です」
「物が元の使い方でなくても役に立てるのが、SDGsの良いところだと思いました」