「買い物」の楽しさと安心を、里山に届ける
能美市商工女性まちづくり研究会
虹を背景に「つなぐ」の文字が描かれた軽トラック。ハンドルを握るのは、鮮やかなピンクのジャンパーを羽織った能美市商工女性まちづくり研究会のメンバーです。今日も市内の山間部や坂の上の町を回って、生活に欠かせない「食」と「笑顔」を届けています。
軽トラックに食と笑顔を乗せて
過疎化が進んで近くの小売店が廃業したり、自分の運転が不安になって免許を返納したりといった理由で、普段の買い物に困難を感じている高齢者が増えています。市民が住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、さまざまな支援が必要とされています。その一つ、「買い物支援」という地域課題に立ち上がったのが、能美市商工会女性部です。
買い物支援にはさまざまなアプローチがありますが、他地域の事例に学び、「これならできるかも」とひらめいたのが軽トラックを使った移動販売だったそうです。2012(平成24)年、能美市社会福祉協議会と連携し、地域のニーズを探るヒアリング調査を実施。その後、町内会長や民生委員を中心に受け入れ態勢を整えた町を訪問先に選定し、試験販売をスタートしました。翌年には任意団体「能美市商工女性まちづくり研究会」を立ち上げ、行政や商工会などからの助成金で軽トラックを購入しました。4年目には訪問先が増えたこともあり、品切れを防ぐため中古のワゴン車を伴走車として購入しました。現在は第1火曜日と第3金曜日の月2回、市内の山間部や坂の上にある町を回っています。
地域の見守りや交流拡大にも貢献
移動販売は毎回6~7名のチームで行います。販売する生鮮三品や日用品は商工会の会員である地元商店から仕入れており、地域内でのお金の循環を生み出しています。訪問先ではトラックを停め、手際よく品物を並べて売場を作ります。元気なアナウンスに誘われて集まってきた人々は、それぞれ欲しいもの、必要なものを選んでいきます。買い物が終わった人にはお茶をサービス。自然に世間話に花が咲きます。ヒアリング調査の段階から、高齢者は買い物の機会に加え、話し相手も求めているという気付きがあり、住民との会話や交流を大切にしています。
また、訪問先の人が栽培した野菜や花を買い取って次の訪問先で販売する仕組みもあり、「売れるものを作ろう」という高齢者のやる気とやりがいを引き出しています。
ボランティアの市民団体が10年以上にわたって移動販売事業を継続できているのには、理由があります。
まずは「無理せず、すぐにできることを続ける」というモットーを徹底していること。利用者に会費を求めるのではなく、活動に賛同する人や企業が会費を払い、資金面から運営を応援できるしくみをつくったこと。そして何より、メンバーの「人の役に立ちたい」という情熱や「人との交流が楽しい」というポジティブな気持ちが、活動継続の大きなエネルギーとなっています。
《お話をうかがった方》北野 ゆかりさん(能美市商工女性まちづくり研究会 会長)
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企業・団体情報
名 称 | 能美市商工女性まちづくり研究会 |
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活動紹介 | 買い物弱者支援で生きがいと支えあいの地域創出。月に2回の移動販売を行う。ボランティアのまちづくり市民団体です。訪問地域は増え続けていますが、販売だけでなく、高齢者が育てた野菜や花の買取りも行っています(田畑の無い地域で販売)。 |
電 話 | 0761-57-3711(会長宅 北野ゆかり) |
URL | http://maida.justhpbs.jp/idouhanbai5years.pdf |