女性の個性を活かして、地域の防災力を高める
能美市消防団女性分団「能美の女組」
ほかに本業を持つ地元の有志が参加し、地域に密着した防災活動を担っている消防団。能美市消防団では2020年10月に女性団員だけで組織する分団「能美の女組(めぐみ)」が発足しました。女性ならではの視点や個性を活かしながら、防災に関する広報活動や訓練への参加、地域との交流などを通じて、能美市の防災力向上に貢献することを目指しています。
さまざまな背景を持つ団員が参加
近年は全国各地で大規模な災害がしばしば起こるようになり、地域の防災体制の強化が求められています。能美市が消防団に女性分団を設立したのは、石川県内でも消防隊員や消防団員に女性メンバーが増えていることに加えて、災害発生時には女性や子ども、お年寄りなどの被災者に対しては、時としてデリケートな支援が求められることが背景にあります。女性だけのグループを組織することで、人当たりの柔らかさや心配りのきめ細かさといった女性が多く持ち合わせている個性を、地域の防災活動で十分に発揮することが狙いです。
愛称である「能美の女組」は、「美しき能国(よきくに)」(能美市の名前の由来)、「め組」(江戸時代の町火消)、「恵み」の3つの言葉から名付けられ、現在は20代から50代まで16名の団員が所属しています。家族が消防の仕事に携わっていたり、地域に貢献する活動にやりがいを感じたりと、志望動機は団員によってさまざまです。それぞれが本来の仕事や家庭との間で時間をやりくりしながら活動に励んでいます。
2021年7月には能美市防災センター横の施設内に女性分団の詰め所が整備され、団員が集まることのできる拠点が出来上がりました。コロナ禍の時期に発足したこともあり、発足からしばらくの間は、団員たちが定期的に顔を合わせる機会をなかなか持てなかった「能美の女組」。今後は活動のための環境を整えながら、団員同士のチームワークを養って、分団としての動きを活発にしていくことを視野に入れています。
女性分団の働きを防災への関心につなげる
「能美の女組」の普段の活動は、能美市民の防災意識を高めることを目的とした広報の取り組みが中心です。行政無線による防災の呼びかけやあいさつ運動への参加、市内の商業施設への防火査察など、市民と直接触れ合う場での活動にも多く関わっています。石川県のほかの市町にも消防団の女性分団が存在する中で、独自の愛称を持ち、積極的な発信を続ける「能美の女組」は、メディアに取り上げられる機会も少なくなく、市民の防災への関心を高める役割を果たしています。
一方、災害現場での経験がない団員たちのために、非常時における救助活動に備えて、知識や技能の向上を図る機会も作っています。各種セミナーや講習などを受講してスキルアップを図るとともに、年2回の火災防ぎょ訓練にも女性分団として参加し、実際の災害を想定した訓練を通じて、消火や救急の現場での働きを学んでいます。
出初式や総合訓練大会では能美市消防団の一員として加わり、ポンプ放水では団員たちが「能美の女組」オリジナルのはっぴに身を包んだ頼もしい姿を見せていました。防災の現場で女性たちが活躍することで、同じく地域を災害から守る道を目指す女性の後輩も増えていくことでしょう。「能美の女組」の活動は、男女が共に輝くことのできるまちづくりにもつながっています。
《お話をうかがった方》濵谷千晴さん(能美市消防団女性分団「能美の女組」 分団長)
関連するSDGsゴール
企業・団体情報
名 称 | 能美市消防団女性分団「能美の女組」 |
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活動紹介 | 能美市消防団の充実強化を図り、近年多発している災害に対応するため、2021年より発足した女性分団の活動は、従来の消防団活動の中でも特に防火・防災に対する広報活動を中心として活動を行い、大規模災害時には、避難者の避難支援や避難所の後方支援を行います。 |
住 所 | 〒923-1121 石川県能美市寺井町ク9番地1 能美市消防本部 |
電 話 | 0761-58-6320(能美市消防本部) |