地域活動

環境に優しい舗装を能美市から世界へ広げる

株式会社エコシステム

1994年に能美市(当時の能美郡寺井町)で設立されたエコシステムは、壊れたり使われなくなった瓦を、地面の舗装に使う材料としてリサイクルする事業に取り組んできました。さらに最近では、同じく土からできているレンガのリサイクルについても研究や調査を進めて、環境に優しいリサイクルの建築材料を海外の国々にも広げていくことを目指しています。


瓦が舗装材に生まれ変わる技術を開発

エコシステムは建設会社を経営していた髙田治也会長が、廃棄物を建築資源に変えるリサイクル事業に取り組むために設立しました。

設立した当初は浄水場から排出される汚泥を固める特殊硬化剤の開発に取り組んでいました。すると、1997年にロシアの石油タンカー・ナホトカ号が日本海で沈没し、流れ出した重油が石川県を含めた日本海沿いの海岸一帯を汚染する事故が起こりました。エコシステムでは、開発していた硬化剤を使って、重油にまみれた砂浜の砂を固めてコンクリートの舗装にし、海岸の環境回復に貢献することができました。

続いて、98年から取り組み始めたのが、廃棄された瓦のリサイクルです。屋根などに使われた瓦の多くは、最後はそのまま処分場の穴に埋めて捨てられますが、その形状から埋立効率が悪く、処分場が早くいっぱいになってしまうことが問題となっています。そこで、捨てられる瓦を細かく砕いて、道路や広場などの地面を舗装する材料に変える技術を開発しました。

瓦を使った舗装材には、見た目の美しさや丈夫さ、水の吸収の早さ(透水性)、水もちの良さ(保水性)、滑りにくさといった長所があります。夏の強い日差しの下でも地面の温度上昇を抑えられることから、都市部の気温が高くなるヒートアイランド現象への対策にもなります。

エコシステムはこの舗装材を使って、能美市や石川県のさまざまな施設や道路などの舗装工事を手掛けてきました。さらに瓦を舗装材にする仕組み全体を「K-グランドシステム」と名付けて、契約を結んだ県外の企業や団体に技術を提供することで、リサイクルの輪を日本全国に広めています。

海外でレンガのリサイクルに挑戦

瓦のリサイクルを広める一方で、2019年ごろからは新たにレンガのリサイクルについての研究を進めています。瓦と同じく土を焼き固めて作るレンガは、ヨーロッパや南米、アジアなどの国々でさまざまな建物に使われていることから、そのリサイクルは世界中から求められる技術と言えます。エコシステムは国やJICA (国際協力機構)などからSDGsに関わる事業に向けた支援を受けて、海外でレンガをリサイクルするための調査を行ってきました。現在は東南アジアのベトナムや南米のボリビアで、レンガを使った材料による舗装工事の実験を重ねているところです。

南米ボリビアでの、レンガを使った材料による実験的な舗装工事

コロナ禍で海外を訪問できなかった期間もありましたが、現地の企業や組織の人々の協力にも助けられながら、調査や実験を続けています。髙田実社長は「私たちのような小さな会社が海外でも活動できるのは、取り組みの内容に共感して、応援してくれる皆さんのおかげです」と感謝の気持ちを忘れません。

そんなエコシステムが目指しているのは、瓦やレンガのリサイクルを、世界のいろいろな地域で末長く続いていく事業に育てていくことです。高田社長は「リサイクルした材料でまちをつくっていくことで、全世界の都市が『循環型未来都市』になったらいいなと思っているんです」と未来への夢を語ってくれました。能美市で生まれた技術によって、あらゆる国でサスティナブルな暮らしが実現できるように、これからもリサイクルの舗装材の可能性を追い求めていきます。

《お話をうかがった方》髙田実さん(株式会社エコシステム代表取締役)

関連するSDGsゴール

企業・団体情報

名 称 株式会社エコシステム
活動紹介 エコシステムは瓦リサイクルを主とした事業を通じ、地球環境の保全と改善に貢献してまいります。
住 所 〒923-1121 石川県能美市寺井町ロ50-1
電 話 0761-58-6900
URL https://www.eco-system.ne.jp/

この記事をシェアする