繊維事業発の技術で地域の未来を創造する
小松マテーレ株式会社
1943年(昭和18年)に小松市で創業し、1968(昭和43)年から現在の能美市に本社を置く小松マテーレは、染色加工を基盤とした合成繊維の製造・販売などを手掛ける企業として国内を代表する存在です。2020(令和2)年度に発表した環境方針「小松マテーレ・サステナビリティ・ビジョン」には、事業活動を通じてSDGsに取り組み、地域社会にも貢献しようとする姿勢と決意が込められています。
新素材を持続可能な社会づくりに活かす
“環境の世紀”といわれる21世紀に先駆け、1999(平成11)年には当時の社名による「小松精練環境管理宣言」を発表し、事業を通じて地球環境保全の取り組みに力を注いできました。さらに、世界の共通課題である持続可能な社会の実現に向け、2021(令和3)年度から本格的にスタートした「小松マテーレ・サステナビリティ・ビジョン」では、小松マテーレの加工技術・先端素材を通じて貢献する課題をSDGsの視点を取り入れて整理し、5つの項目に統合しています。
環境面では工場の省エネ化や、水使用量、廃棄物量、有害化学物質の削減を進めながら、製造時に使うエネルギーを抑えた繊維素材「WS」や、端材のアップサイクル(価値を高めての再利用)製品など、環境にやさしい商品の展開を拡大しています。
また、繊維や染色の技術を活かして、都市を災害から守る新しい建築材料も開発しています。例えば、染色排水を処理する工程で出る廃棄物を原料としてつくられるセラミックス材料の「グリーンビズ」は、高い保水性を持ち、台風や豪雨でも水溜まりができにくく被害を減らすことができます。炭素を原料とする繊維材料の「カボコーマ・ストランドロッド」は、強さと軽さ、耐久性を兼ね備えていて、建物の寿命を延ばし、地震に強くすることができます。これらの新材料は実際にさまざまな建築物に使われて、まちの環境を安心・安全で長持ちさせる役割を果たしています。
SDGsの取り組みは地域との連携も不可欠であり、地元である能美市との関わりも深めています。「WS」は北陸先端科学技術大学院大学との共同研究で解析に取り組んでおり、「グリーンビズ」は能美ふるさとミュージアムなどにも使われています。中学校や高校で会社の事業内容を説明したり、海岸の松林を守るために「グリーンビズ」を土の中に入れて苗木の植樹を行ったりと、地域社会に貢献する活動も続けています。
地域と交流できる施設もオープン
本社敷地内にあるファブリックラボラトリー「fa-bo(ファーボ)」とファクトリーショップ「mono-bo(モノーボ)」も、地域の人々とつながる場所として設けました。小松マテーレの歴史や製品について展示する「fa-bo」は、能美市の小学生たちが見学に訪れるだけでなく、一般客も見学できます。また、染色体験や編み物体験なども行っています。「mono-bo」では、廃棄される布で作ったバッグなどアップサイクル製品を含めて、工場直販の商品を気軽に購入できます。
SDGsを通じて目指す未来図として発表している「コマツマテーレタウン」では、自社の繊維素材や建材の技術を活用して、持続可能な未来都市の構想を描いています。能美市でのサステナビリティ・ビジョンの実現に向かって、これからも環境に優しい新技術の追求と、地域と共に歩む事業活動に励んでいきます。
《お話をうかがった方》森 幸治さん(小松マテーレ株式会社 理事 環境推進室長)
関連するSDGsゴール
企業・団体情報
名 称 | 小松マテーレ株式会社 |
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活動紹介 | 1943年に創業、世界トップレベルの高度な染色技術と高次後加工技術で繊維素材の開発を続け、多彩な事業を展開する繊維メーカーです。 |
住 所 | 本社: 〒929-0124 石川県能美市浜町ヌ167番地 |
電 話 | 本社TEL:0761-55-1111(大代表) |
URL | https://www.komatsumatere.co.jp/ |