お知らせ

第2回パートナーズ交流会&勉強会を開催しました

2022.12.21#イベント情報

12月21日(水)に寺井地区公民館にて、「第2回のみSDGsパートナーズ勉強会&交流会」を開催しました。

10月に開催した第1回は、48人の方が参加し、のみSDGsパートナーズ同士の交流や学び合いに対する期待を感じられました。

第2回目となる今回のテーマは【強みの活かし方を学ぶ】。
SDGsを通じて自社の強みを見直してみることと、そこから新たな強みが生まれる可能性を考えました。

講師レクチャー 目の前の課題を、一歩踏み込んで考えよう

今回の講師も、株式会社エンパブリックの広石拓司さんに務めていただきました。

冒頭の講師レクチャーで最初に提起されたのは、「時代や社会の変化の中で目の前の課題にどう向き合いますか?」という問い。

近年急速に普及したテレワークを例に挙げると、テレワーク中のオンラインでのコミュニケーションの難しさにぶつかっている企業は少なくありません。

この課題に直面したときの対応が2通りあると広石さんは言います。

1つは、「やっぱりこれまでどおり対面のコミュニケーションがよかった。みんな出社するスタイルに変えよう」と、テレワークを中止し、これまでどおりの勤務形態に戻してしまうやり方。
2つ目は、「コミュニケーションの難しさは課題だけど、でもテレワークのおかげで小さい子どもがいる人や遠隔地に住んでいる人も無理なく一緒に働けるようになった。テレワークを前提として、コミュニケーションの方法を考え直そう」と、新しい勤務形態に合った組織文化を作ろうとするやり方です。

1つ目のように、目の前の課題に対して従来通りの考え方で対応してしまうのではなく、2つ目のように少し先の未来を想像したときの前提に切り替えて、その上で新しい考え方や発想で取り組んでみることが、企業にとっては新しい取り組みを生むチャンスにもなります。

市場・取引先・社会など、周りの状況が変容していく中で、自分自身の前提や意識をアップデートするための一つの手がかりになるのがSDGsなのです。

広石さんは、社会の変化の中で生まれた課題に対して「SDGsの視点で一歩踏み込んで考えてみてください」と参加者に呼びかけました。

たとえば、SDGsのゴールと照らし合わせながら既存事業を見直してみてください。
環境社会の観点から、どのような意味があるのか、どんな価値を生んでいるのか。自分たちも気が付いていなかった強みを発見できるかもしれません。

次に大切なのは、自社の事業が環境や社会に負荷を与えていないかを検討することです。
2030年の前提に立って考えてみることで、将来のマイナス(弱み)に対して今から対応を始められます。

あわせて、「2030年に向けて、自社が環境や社会に貢献できることがないかも、考えてみて欲しい」と広石さんは話されました。
たとえば商店街なら、豊富な知識を持つ各商店の方に、地域に向けて知恵を発信してもらうことで「商店としての役割」に加えて「地域の認知拡大・活性化」の一翼を担えます。
自分たちの強みを活かしてSDGsへの貢献度を高めることが、新事業(新たな強み)の開発につながるのです。

また、こうした未来志向の事業運営は従業員の意識を向上させ、より意識の高い人材採用や人材の定着化にも良い影響を与えるそうです。

広石さんのレクチャーから、自社の強みを活かしてSDGsに取り組むことで、多方面でのプラスがあることを学びました。

パートナーズプレゼン 強みを活かして地域貢献

続いてパートナーズの中から、代表してのみ商業協同組合 理事長の石川様、加賀東芝エレクトロニクス株式会社の山田様から、活動紹介のプレゼンテーションを発表いただきました。

のみ商業協同組合では、各商店の店主やスタッフが講師となってミニ講座を行う「のみまちゼミ」を2016年から継続して実施しています。

予約制で各店に直接申し込む形を取っており、最大6名のお客様にお話や実技体験などを提供します。

参加者の満足度が80%以上を越えているほか、
「講師として勉強する機会が持て、より知識を深められた」
「新しいお客様とつながれた」
と、各商店からも好評が寄せられているそうです。

このような結果からもわかる通り、各商店はお店の存在・特徴・商店主のこだわりや人となりを、これまで来店したことがない方にも知ってもらえ、さらにお客様と距離の近いコミュニケーションから、ファンづくりや新規顧客の獲得が期待できます。
一方で市民は楽しみながら知識の習得ができ、暮らしや能美のまちに対する満足度が向上。
そして、市民が講座を受けるために店舗を巡ることにより能美市全体が活性化していくでしょう。

石川さんは「のみまちゼミをとおして能美市内にこの好循環をつくり、住み続けられるまちづくりにつなげたいと思っています」と語ってくださいました。

広石さんからは、「自分たちのお店・会社でやっていることを市民に伝える機会は実は少ない。自分のお店のことをきちんと言葉にして伝える。そのこと自体にも気づきがありそう」「普段接客にあたらないスタッフが講師になることでお客様との直接のコミュニケーションが生まれ、やりがいや意識づくりにつながる」とコメントがありました。

石川さんも、「のみまちゼミ」の講座を受け持つ講師の一人。
はじめは「自分の知識を話すなんてどうなんだろう」と思っていたそうですが、少人数の講座なので、初めて会った人と友達のように話したり、後に来店につながったりもする「のみまちゼミ」の魅力に気づいたそう。
笑顔で「楽しいです」と話される姿が印象的でした。

続いて、加賀東芝エレクトロニクス株式会社の山田さんからは、従来のCSR活動に加えて開始したCSV(Creating shared value)活動についてご紹介いただきました。

加賀東芝エレクトロニクス株式会社では、従業員の環境啓発や地域貢献活動を2013年から自社内で森林整備活動を続けています。

この前身の活動として、「石川の森づくり推進協議会」が主催する保全活動に従業員やその家族が参加していたそうなのですが、活動区域が広域であることや、参加者の固定化しているという課題に対応するため、辰口丘陵公園内を活動場所として新たに活動をスタートしました。

活動では、遊歩道周辺の整備(間伐、枝打ち、枯木・倒木除去、下草刈り)やしいたけの収穫体験、自然素材を使った木工工作体験など、森林保全に加えて体験型のイベントも実施。

従業員やその家族がリピーターとなって参加し、環境意識の向上を感じられるようになったほか、地域のほかの団体や組織と交流が生まれ、組織の外とも連携が強化できました。

モットーは、『無理せず・楽しく・末永く』。
コロナ禍でも規模を縮小しながら継続して実施しているそうです。

また、加賀東芝エレクトロニクス株式会社では、能美市内の小学校を対象に出前授業も開催しています。

授業を通じて社会課題解決に貢献している半導体製品について理解してもらい、半導体ファンを拡大することで、将来の地元エンジニア育成を目指す取り組みです。

生徒から「将来、半導体に関わる仕事をしたい。考えたりするのは苦手だけど地球環境を良くしたいから」と嬉しい感想があったほか、社内の工場で働く従業員からも関心が寄せられたそうです。

広石さんは、「実は、中高生や小学生は自分の町にある会社についてほとんど知らない。理数系の仕事が今後より重要になっていく中、工作を完成できた、という成功体験をつくれるのは貴重な体験になったのでは」と考察しました。

会員同士のグループワークも!

今回の交流会&勉強会では、短時間ですが参加者同士の意見交換の時間も設けました。

レクチャーやパートナーズプレゼンを踏まえて、グループに分かれて全体の感想や「SDGsを実践するとどんなプラスがあるのか」を共有していただき、最後は代表の数グループに話し合いの内容を発表していただきました。

発表で共有いただいた内容の一部を下記に掲載します。

●まったく新規の事業を立ち上げるのではなく、これまでしていたことをSDGsにつなげて再整理し、発展させたら良いと分かった。
●発信が得意な企業もあれば、地道な活動が得意な企業/団体もある。今日集まっているのみSDGsパートナーズで互いに補いながら、それぞれの特性や強みを活かしていきたい。
●SDGsの文脈を使うと、自社の事業を伝えやすくなった。一方でエシカル商品やリサイクル商品は値段が高く避けられてしまう。事業の価値の浸透にはまだ少しかかりそう。

広石さんは最後に、「SDGsの答え合わせは2030年。それまで誰も正解は分からないけど、世の中全体がSDGsを当たり前にしつつある動きをとらえ、その動きに上手く貢献できれば、大きく社会を動かすことにつながる」と締めくくりました。

SDGsの実践は、事業者単独の活動や実践では難しい部分もたくさんあります。
グループワークの発表でもあったように、のみSDGsパートナーズの勉強会や交流会で、興味・関心がある会員同士でつながり、強みを共有しながら能美市全体のSDGsを加速させていきたいと思います。

ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

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